ゼミナール

 黒船開国によって日本が得た貿易利益

国際経済学の大きなテーマの一つに貿易利益がある。これは、貿易を行っていない国が貿易を行うことによって経済的便益を得ることができることを示すものであり、様々な研究家によってその存在の理論的証明がなされているし、国際経済学の教科書でも真っ先に…

 国内のグローバリゼーションと国際的なグローバリゼーション

国際経済学とは貿易によるモノの国際取引、資本移動に伴う資金の国際間移動、移民や出稼ぎ労働者による労働者の国際間移動。そして最近では多国籍企業に代表される企業活動(生産・販売・開発)の国際化などが自由に行われることによる経済的利益を説明すること…

小峰隆夫/日本経済センター(編) 『超長期予測 老いるアジア』

超長期予測 老いるアジア―変貌する世界人口・経済地図作者: 小峰隆夫,日本経済研究センター出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2007/10/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (12件) を見るこの本は、日本経済センター…

 貿易黒字はどこに行くのか?

前回は、輸入をするための外貨を得るためには輸出が重要だというお話をしました。 輸入をするための外貨を得るためには、1)援助によって外国から頂く、2)外国人から借金をする、3)輸出をして稼ぐことの3つがあり、援助や借金を受けることなく国内に必要な物…

 なぜ輸出が重要なのか

以前、輸入と輸出ならば輸入の方がその国の経済にとって重要だということについて書きました。 (http://d.hatena.ne.jp/eisakukun/20080219/1203435280)日本は資源と食糧の多くを外国から輸入しています。この輸入が途絶えたら経済は崩壊します。 そもそも日…

 輸出と輸入どちらが経済にとって重要なのか??

多くの国際経済学の教科書では、まず自由貿易の利益についての説明から始まります。日本は、貿易立国という言葉もあるように、貿易が経済の発展に大きく貢献している国です。貿易といえば、輸出と輸入がありますが、皆さん輸出と輸入どちらが日本経済にとっ…

国際経済学とは???(2)

前回の続きです。国際経済学には大きく分けて国際貿易論と国際金融論(国際マクロ経済学)の二つがあります。前回、国際貿易論について説明したので、今回は国際金融論(国際マクロ経済学)です。国際金融論(国際マクロ経済学)が扱うテーマには次のようなものが…

 国際経済学とは???

国際経済学とは、国境を越えた財(製品)、労働、資本(資金)や技術(知識)の移動・取引が国民経済に与える影響について分析する事によって、複数の国家の相互依存関係を知ると共に、世界経済の中で自国民にとって最も有益となる政策について考えていく学問だと…

 援助→外資導入→経済成長へ

先日、開発援助と経済成長の関係について、必ずしも開発援助が援助受入国の経済成長につながるわけではないという事を書きました。 (http://d.hatena.ne.jp/eisakukun/20071019/1192802350) 今日は、開発援助が経済成長につながるパターンとして、開発援助が…

外国企業が進出するための条件

今日は少し根本的なことを書きたい。 途上国の経済政策の目的は国民所得の増大であり、経済発展であるということは言うまでもないだろう。 経済発展とは国における生産力の増強を意味する。生産力の増強とはほとんどの場合工業化を意味する。インドのようにI…

 新経済地理学から見る労働移動・産業移転

今日は少し経済学の視点から、国際的な労働移動や国際間の産業移転について考えていきたい。 基本的な国際経済学では、労働賃金に格差がある二つの国の間で労働移動が自由化されると、労働賃金の高い国から低い国へと労働が次々と移動する事によって両国の賃…

安全基準と国際競争力

先日、台湾産のうなぎを宮崎産と偽装した業者がいたというニュースについて書きました。 この事件の背景には、最近の中国産製品に対する安全面への不安から、国産品に対する需要が急増したことがあったのですが、「食」の安全について、10月1日付けの日経で…

宮崎県のウナギ産地偽装問題

ウナギ産地 偽装、昨年8月から 宮崎市の業者証言 台湾産に国産シール ウナギの産地偽装問題で、宮崎県などから日本農林規格(JAS)法違反の疑いで立ち入り調査を受けたウナギ卸売業「石橋淡水」(宮崎市佐土原町)の実質的経営者、石橋政男取締役(59…

 色々本を読んでみました。

昨日まで5日間、中国の広州・杭州・上海と旅行してきました。中国の発展ぶりを直接見ることができて、とても有意義でした。 その旅行前と旅行中にいくつかの本に目を通しました。 まずはメコン流域国の経済発展戦略―市場経済化の可能性と限界作者: 日本政策…

 アグリフードシステムとトレーサビリティ

漁業に関する文献はなかなか少ないなあと最近実感します。 そういうときには、類似の文献を探すのが良いということで農業、食品関係の文献を探してみたところ、こういう本を見つけました。 食品安全経済学―世界の食品リスク分析作者: 松木洋一,ルードヒュル…

 メコン川流域の開発が与える影響

今日は、メコン川流域の開発が与える影響を3つのグループの立場から考えて見たい。 まず、メコン川流域に立地する後発国(ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)の立場から考えてみよう。 後発国であり、国内開発の資金を外国に依存するこれらの国にとっ…

 養殖業のビジネスモデルの担い手は??

世界的な魚需要が増加する中、漁獲高が伸び悩まざるを得ない状況の下で、養殖業に対する期待が高まっている。 養殖業については、環境問題や安全・衛生上の問題など様々な問題がありますが、そんな中、養殖業の発展のためには、消費者に受け入れられるような…

如何に魅力的な投資先とあり続けるのか??

発展途上国の経済発展とは、一言で言うと「国内生産力の増強」である。 国内生産力が増加すれば、国内所得の増加につながるし、国内所得が増加すれば国内消費が活発化する事によって、更なる国内生産の増加を見込むことができる。 ここでいう国内生産力の増…

市場統合がアセアン後発国に与える影響

今日は、アセアンの市場統合が特にアセアン後発国(ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)に与える影響について考えて見たい。 これも、前回と同じく「日本の東アジア戦略~共同体への期待と不安」の第一章「市場統合と日本の役割−ASEAN後発国の発展…

水産白書への疑問〜なんで輸出を増やさなあかんの?

これまで、世界的な魚需要の増加によって、魚が食べられなくなるかもという疑問から、色々書いてきました。 水産物は再生可能資源なので需要が高まったら漁獲量を増やせば良いというわけにはいかず、逆に乱獲を防いで水産資源の管理を厳しくしなくてはならな…

養殖・畜養と代用品について

前回、魚需要が増加して値段が高くなるほど、乱獲が発生するのを防ぐために漁業資源の管理を厳しくしなければならないと述べました。 魚需要が増えているのに、魚をたくさん取ることができないとなれば、養殖によって魚の量を増やすか、それとも他の魚で代替…

ASEANにおける市場統合の問題点

日本の東アジア戦略~共同体への期待と不安作者: 日本総合研究所調査部環太平洋戦略研究センター,渡辺利夫出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2005/07/15メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (4件) を見るこの本の第1章「市場統合と日…

 水産資源管理の重要性

農産物と水産物の重要な違いについては、前回も書きましたが、「漁業振興と水産資源管理」でもこのように述べられています。 ある水産関係の懇親会で、厳しい状況の続く農林水産業について「農業、林業と水産業の大きな違いというのは何か」という質問を受けた。 …

ASEANとFTA/EPA

日イ経済連携協定に調印、エネ安保焦点 インドネシアを訪問中の安倍晋三首相は20日、ユドヨノ大統領と自由貿易協定(FTA)を含む経済連携協定(EPA)に調印した。日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)原加盟国すべてとEPAを締結したことになる。インドネシアと…

 水産物を再生可能資源と考える

マグロやウナギ、カニなど、近年の世界的な魚需要の高まりから価格高騰・資源枯渇の懸念がいくつかの水産物に対して明らかになっています。 食糧問題に関しては、小麦や大豆といった穀物でも、価格の高騰が懸念されていますが、水産物と穀物では問題の本質は…

 ASEAN経済に関して思うこと

僕が大学生だった頃(90年代前半)、開発経済学を専門にしていた先生のゼミに所属したこともあって、NIEsやASEAN諸国の経済発展について勉強しました。 当時のASEANは、外国からの直接投資を積極的に受け入れて、輸出志向型の工業化によって高い…