輸出と輸入どちらが経済にとって重要なのか??

多くの国際経済学の教科書では、まず自由貿易の利益についての説明から始まります。

日本は、貿易立国という言葉もあるように、貿易が経済の発展に大きく貢献している国です。

貿易といえば、輸出と輸入がありますが、皆さん輸出と輸入どちらが日本経済にとって重要だと思いますか?

輸出と答える人が多いと思います。
なぜなら、日本の主力産業の多くは自動車を筆頭とする輸出産業であり、これら製造業が世界中に工業製品を輸出して稼いだからこそ、日本はGDPで世界2位まで発展することができたと考える人が多いだろうからです。

一方、輸入に関するニュースは余りいいことを聞きません。
例えば、最近の中国産の餃子事件や小麦粉の価格上昇をきっかけに今日本の食糧自給率が問題となっています。外国に食糧を依存することは危険だ、やはり食糧は自給自足しなければという意見です。

しかし、輸出と輸入を比べるならば明らかに輸入の方が重要です。

なぜなら、日本は食糧や原油、鉱物資源の多くを輸入に依存しているからです。

例えば、日本が輸出も輸入もせず外国と全く貿易をしなくなるとどうなるか考えて見ましょう?

外国と全く貿易をせず鎖国状態となるとき、日本は自分達で作ったものを自分達で消費することになります。
このような経済のことを自給自足経済といいます。

外国にモノを売れなくなるから、日本の輸出産業は販売先がなくなって稼げなくなってしまい、日本の景気はめちゃくちゃになってしまう。
そう考える人もいるでしょう。しかし、もっと重大な問題はこれまで外国から輸入してきたモノを自分達で作らなければならなくなることです。
日本の食糧自給率を100%にしようとすると、農地は今の何倍いるでしょうか?1億人近くの食糧を日本という狭い国土で生産することはとても大変です。
明らかに我々の食生活はひもじいものになるでしょう。
また、原油が輸入できなくなると電力も維持できませんし、石油化学製品も日本からなくなります。鉱物資源がなくなれば、工業製品も作れなくなります。

このように、日本は経済基盤の多くを輸入に頼っています。だからこそ輸入が重要なわけです。世界の国々が日本製の製品を全く買わなくなればそれはそれで困りますが、それ以上に困るのは日本が世界の国々から全く輸入することができなくなることなのです。

これは、聞いてみると当たり前のことですが、実際の経済問題を考える時には忘れがちです。

では、輸出は意味ないのかといえばそうでもありません。輸出ももちろん重要です。しかし、その理由は輸入をたくさんできるためには輸出が必要だからです。どういうことなのか?それは別の機会に書きます。

今日はこの辺で