今日の一枚 相対性理論「ハイファイ新書」

ハイファイ新書

ハイファイ新書

前回紹介した相対性理論が今年出したアルバム。

一曲目の「テレ東」のイントロでもうやられました。とにかくギターの音が気持ちいいです。

相対性理論と言えばボーカルのやくしまるえつこの声と歌詞が特徴的ですが、僕はサウンドのクオリティが高いところを推したいです。

とにかく全曲素晴らしいのですが、その中でも「テレ東」「品川ナンバー」「さわやか会社員」がお勧めです。

テレ東

品川ナンバー

「さわやか会社員」

国際経済学会関西支部研究会での報告

9月26日に行われた日本国際経済学会関西支部研究会で報告題「企業間労働移動に伴うスピルオーバー効果と多国籍企業と現地企業のR&D活動」の研究報告を行いました。

報告に使用したパワーポイントが公開されていますので興味のある方はご参照ください。

 今日の一枚 相対性理論「シフォン主義」

シフォン主義

シフォン主義

夏休みに実家に帰った時に中学3年生の姪っ子に教えてもらったのが相対性理論

「Loveずっきゅん」ってタイトルがばかばかしくて気に入りました。
ボーカルの子の声と言葉遊びのような歌詞が魅力ですが、演奏も気持ちのいいギターサウンドで癒されます。

1曲目の「スマトラ警備隊」や最後の「元素紀行」もおもろいです。



『経済経営リスクの日中比較』

[rakuten:book:13279078:detail]

去年滋賀大学で行われた中国の大連大学との合同研究会「経済経営リスクの日中比較」で報告した論文が書籍になりました。

詳しい内容はこちらにどうぞ。

私は第4章「多国籍企業の中国におけるR&D活動とスピルオーバーの経済学」を担当しております。

 推薦図書「選挙の経済学〜投票者ななぜ愚策を選ぶのか」

選挙の経済学

選挙の経済学

衆議院選挙があるからってわけじゃないですが、読んでみました。

内容は、民主主義の根幹をなす選挙が国家が合理的な政策を選択することを阻んでいるというものであり、民主主義の欠点を鋭く指摘しているものである。

著者はまず、米国の国民の経済に対する意識が、経済学者の判断する経済学的に合理的な判断と乖離していることを指摘する。すなわち、国民の選好は非合理的な偏りがあることを示している。

代表できな偏りとして、筆者は「反市場バイアス」「反外国バイアス」「雇用創出バイアス」「悲観的バイアス」の4つがあると指摘している。その内容は次のようなものである。

「反市場バイアス」市場メカニズムがもたらす経済的便益を過小評価する傾向
 利己的な行動を行う企業が市場における競争を通じて公共の価値に貢献していることは経済学者には常識だが、一般の人には理解されていない。人々は必要以上に企業家や銀行家、流通業者などを利益に群がる悪人と判断しがちである。

「反外国バイアス」:外国人との取引による経済的便益を過少評価する傾向
 国際貿易や国際投資、移民の受け入れによる経済的利益は経済学者には常識だが、一般の人には理解されていない。人々は外国人を我々から搾取する悪人と見がちである。

「雇用創出バイアス」:労働を節約することの経済的便益を過小に評価する傾向
 経済学者は、一定の経済的価値を生み出すための労働者が節約され、より少ない労働者と時間で大量の生産を行うことを経済の進歩と考えるが、人々はどんな仕事でも奪われることは社会的悪とみなす。
 例えば、工場の機械設備の進歩はより少ない労働者で大量の生産を行うことを可能とするが、それによって労働者が今までやっていた仕事を奪われることを一般の人々は悪とみなす。経済学者は、解雇された労働者が新しい職場で新しい経済価値を生み出すことの方を重視する。

「悲観的バイアス」:経済問題の厳しさを過大に評価し、経済の過去、現在、そして将来の成果を過小に評価する傾向
 経済学者は、様々な困難に直面しているにもかかわらず社会は確実に進化していると考えているのに対し、一般の人々は報道などで指摘される経済的脅威に過剰に不安になり、遠い昔を理想化する傾向にある。

このような投票者の考え方の偏りにより、選挙によって成立する政策は経済学的合理性とはかけ離れたものとなると筆者は主張する。

これは、投票者が愚かだということを言いたいわけではない。選挙において、人々は自分の一票が政策の決定に重大な影響を与えるわけではないことを知っている。このため、人々は買い物や投資など自分の利害に大いに関係する経済的行動とは異なり、選挙の際に社会的に合理的な政策の判断をしようとせず、自分がこうあってほしいという願望で投票行動を決定するからである。つまり、合理的に非合理な振る舞いをするということが議論の核心なのだ。

この議論は、経済学教育にも重要な示唆を与えている。一般的に経済学者は断定的な結論を避ける傾向にある。一つの政策的結論には長所(ベネフィット)と短所(コスト)があり、経済学者はその両方を説明しがちだ。意外と経済学者は謙虚なのだが、そのことが一般の人々へのメッセージ性を弱めていることを指摘する。経済学者の第一の使命は、人々がもつ非合理なバイアスに対して、なぜその考えは間違いなのか、本当に合理的な考え方とはどのようなものかを明確に伝える必要があるというのが、筆者の経済学者に与えるメッセージとなっている。

特に国際経済学者は人々の「反外国バイアス」が使命であり、それを肝に銘じなければいけないわけですよね。心に刻んでおきます。


 

 アメリカとのFTAで日本の農家は崩壊???

自・民党首が農業政策で舌戦 全国遊説を本格化 Yahoo!Newsより

自・民党首が農業政策で舌戦 全国遊説を本格化
 
8月19日15時49分配信 産経新聞
 
 第45回衆院選の公示から一夜明けた19日午前、各党党首は全国遊説を本格化させた。麻生太郎首相(自民党総裁)と民主党鳩山由紀夫代表はいずれも農業が盛んな北海道、青森県内などで街頭演説し、農業政策で舌戦を繰り広げた。
 
 公示日の18日は東京都内を回るにとどまった麻生首相は、全国遊説を本格スタート。19日朝に北海道入りし、JR帯広駅前での演説では「民主党は日米自由貿易協定(FTA)を締結するとしていたが、ぶれた。農業政策をまじめに考えていないからだ。政権選択ではなく、政策の選択を考えてほしい」と主張した。
 
 この後、天候不良のため、計画していたヘリコプターでの釧路市への移動を断念したが、車で次の演説会場の旭川市に向かった。
 
 一方、鳩山代表は19日午前、青森県八戸市役所前での演説で、「結果責任を問われるのが政治だ」と改めて訴え、「(政権交代すれば)農家への戸別所得補償制度でコメやリンゴの値段が生産費とひっくり返ったときは補填(ほてん)する。安心して後継者を見つけることができるようにする」と強調した。この日は宮城、福島、栃木、埼玉各県で遊説。

民主党マニフェストにある米国とのFTA締結が農業問題と関連付けられて議論になっています。まあ、米国とFTAを結ぼうと思うと農産物市場開放の要求は出てくるでしょうから分からないではないですが、正直ピントがずれた論戦と思わざるを得ないんですよね。

そもそも、アメリカが日本とFTA交渉をしてくれるとは思えないんですよね。2008年1月現在、アメリカが発行しているFTAイスラエルNAFTA(カナダ・メキシコ)、ヨルダン、シンガポール、オーストラリア、チリなどたった9カ国・地域、発行待ちもしくは交渉中はオマーン、ペルー、韓国、コロンビア、マレーシア、タイなど8カ国・地域と他の国に比べて異常に少なく、EUとはFTAの話すら出てきていません。そんな状況で、日本とのFTA交渉をしてくれるとは到底思えないわけです。

一方、日本はASEAN諸国(シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ブルネイインドネシア)、メキシコ、チリとFTAを発効しており、現在は韓国、インド、オーストラリアなどとのFTAを検討していますが、これらのFTAで今まで農産物市場をどれだけ開放しましたっけ?なぜFTA=農産物市場開放なのかがわかりません。それに、自民党アメリカとのFTAが農産物市場開放=農業崩壊につながると散々言っていますが、その自民党政権はオーストラリアとのFTAを検討中というのはどういうことでしょうか?オーストラリアとのFTAも農産物市場開放が問題になっていますよね。

確かにアメリカとのFTAによって農産物市場を開放するのは僕は反対です。なぜなら、アメリカにだけ市場開放してしまうと、WTO交渉で「アメリカには市場開放してなぜ他の国からの輸入はシャットアウトするんだ」と他の国に抗議されるのは目に見えていて、結局WTOで大幅譲歩せざるを得なくなると思えるからです。それなら、最初からWTOでの交渉の中で農産物市場開放で少しずつ譲歩しながら欧米諸国の農産物に対する輸出補助金政策などを抑えるようなルール作りを行っていくべきだと思うからです。

それよりもアメリカとのFTAは農産物問題だけでなく、もっと大変な問題を引き起こす可能性があるのでそもそもアメリカとのFTA自体にも僕は反対です。それはちょっとまた別の機会に書ければと思います。

それは置いといて、今回の議論の焦点になっているアメリカとのFTAによる農産物市場開放によって日本の農業は崩壊するという自民党の論戦に話を戻します。

民主党の農業政策は、以前このブログでも紹介したように(自民党と民主党の農業政策を比較してみる)、FTAによる貿易自由化と農家への所得補償政策のミックスです。それに対する自民党の農業政策は、保護政策は維持しつつ、農業の大規模生産化によって競争力をつけるというものです。自民党も農業に対する保護がいつまでも続けることができないということはわかっているでしょうから、保護政策を維持しつつ農業育成をするという政策は一種の幼稚産業保護政策と考えることができます。つまり市場開放をしなければならなくなる前に国際競争力を何とかつけようということです。

この二つの政策なら、僕は民主党の政策に賛成します。池田信夫氏が指摘するように(関税と所得補償)、FTAによって安い外国の農産物が日本に入ってきても、所得保障によって国際価格と生産費の差を補てんするのであれば日本の農業が崩壊することはありえません。一番困るのは、農産物の流通によって利益を得ている農協であって、麻生総理がこの問題をことさら騒ぎ立てるのも農協に対するアピールもあるのではないかと思います。

所得補償を行うと財源はどうするんだという話になるかと思いますが、そのことも実は問題ありません。輸入自由化によって、我々の食費が多いに安くなるので、農家の所得保障のために多少増税しても十分おつりがくるほどの利益が消費者にはもたらされるからです。そして、食費が安くなるということは所得に占める消費が大きい低所得者層に最も大きな経済利益をもたらすことになります。共産党アメリカとのFTAによるコメの自由化反対なんて言ってますが、食料品などに消費税をかけるのはけしからんと言っているくせに、農作物の保護によって国際価格よりもはるかに高い食費を負担している現実については無視しているのは信じられないところです。

自民党も偉そうなこと言っていますが、戦後の保護主義減反政策によって日本の農家に壊滅的打撃を与え続けていた自民党農政の反省もなく民主党の批判をしているだけでは説得力に欠けると言わざるを得ません。農業の大規模化にしたってここ数年散々言ってきている割にはほとんど進んでいないわけですからね。減反政策見直しだって自民党農水族の圧力で遅々として進んでもいませんしね。

今日はこの辺で