国際経済学とは???

国際経済学とは、国境を越えた財(製品)、労働、資本(資金)や技術(知識)の移動・取引が国民経済に与える影響について分析する事によって、複数の国家の相互依存関係を知ると共に、世界経済の中で自国民にとって最も有益となる政策について考えていく学問だと僕は思っています。

そのため、取り扱う範囲はとても広く、国をまたがった経済取引のすべてがこの学問の中で触れられていると考えてもおかしくないでしょう。

国際経済学には大きく分けて二つの分野があります。

一つはミクロ経済学を応用した国際貿易論、もう一つはマクロ経済学や金融理論を応用した国際金融論(国際マクロ経済学)です。

国際貿易論が扱うテーマには次のようなものがあります。

1)貿易を行うことによって、その国が得る便益
  外国と貿易を行うということは、国内で生産した製品の一部を外国に輸出する一方で、国内で生産しきれない製品を外国から輸入することを意味します。このような貿易を行っている状態と反対の状態は、自国で消費するものはすべて自国で生産するという自給自足状態です。自給自足の状態から、国際貿易を開始した時に、その国の国民はどのような利益を得ることができるのかについて考えます。

2)貿易パターン(何を輸出して、何を輸入するのか)の決定
  外国と貿易を行うということは、ある製品は輸出、ある製品は輸入することを意味します。例えば、日本は石油や鉄鉱石そして食糧など、国民生活の基盤となる製品を輸入する一方で、自動車や家電製品など工業製品を輸出しています。このような貿易パターンは、その国が持つ特徴(技術や労働人口、資本の蓄積など)だけでなく、貿易相手国の特徴にも左右されます。どのような製品を輸出して、どのような製品を輸入すれば、自国だけでなく、外国も含めた世界全体が最も大きな利益を得る事になるのかを考えます。

3)貿易政策が経済に与える影響
  政府が貿易に介入する政策には、自国の生産者を外国の輸入製品との競争から保護するための輸入関税や輸入数量規制といった保護貿易政策や、輸出を促進するための輸出補助金政策のようなものがあります。これらの貿易政策が、自国経済に与える損失もしくは便益について考えます。

4)国境を越えた労働・資本(工場設備の意味)の移動が経済に与える影響
  国境を越えて取引されるのは製品(財)だけではありません。労働者も国境を越えて移動することもあるし、ある国の投資家が別の国へと投資をして工場設備を設立することもあります。このような、労働や資本の国際移動が、その出し手と受け手にどのような影響を与えるのかについて考えます。

5)企業活動の国際化に関する分析
  世界の巨大企業のほとんどは多国籍企業として、世界各地に工場(生産拠点)や販売拠点、さらには研究開発拠点までも設立していきます。なぜ、企業は本国を飛び出して世界中にその活動範囲を広げようとするのか、そのような多国籍企業の行動が世界経済にどのような影響を与えるのかについて考えます。

6)国際通商体制の分析
  世界全体の自由貿易体制の構築については、WTO(世界貿易機関)という国際機関を舞台に世界中の国が集まって交渉を行っています。その一方で、近隣の国や経済的に結びつきの強い国との自由貿易をFTA(自由貿易協定)によって築こうとする動きもあります。国際交渉の中で、世界の自由貿易体制はどのように築きあげられていくのかについて考えます。

国際金融論(国際マクロ経済学)については、明日また書きます。

今日はこの辺で