援助→外資導入→経済成長へ

 
先日、開発援助と経済成長の関係について、必ずしも開発援助が援助受入国の経済成長につながるわけではないという事を書きました。
(http://d.hatena.ne.jp/eisakukun/20071019/1192802350)
 
今日は、開発援助が経済成長につながるパターンとして、開発援助が外資導入へとつながり、外資導入が受入国の経済成長につながるのではないかという話をしたいと思います。
 
まずは、開発援助の受け入れが、援助国からの外資の導入につながるのではないかという説について実証研究を行ったディスカッションペーパーが、最近経済産業研究所(RIETI) から出ています。
 
開発援助は直接投資の先兵か? 重力モデルによる推計 
(http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/07030005.html)

概要
本稿では、開発援助が開発途上国への海外直接投資を誘引するのか、するとした場合どのように誘引するのかについて検討する。検討に際しては、開発援助および直接投資の出し手および受け手の国をペアにした大きなデータセットを用いて、重力モデルによる推計を行う。本稿の実証分析では、開発援助の直接投資誘因効果を3つのタイプ‐正の「インフラ効果」、負の「レントシーキング効果」、正の「先兵(バンガード)効果」に区別することが可能となる。「先兵効果」は、開発援助と直接投資が同じ出し手と受け手の国のペアである場合に特有な効果である。実証分析によれば、開発援助は一般的にはこれらの3つの効果を必ずしももたらさないことがわかった。しかし、日本の開発援助には先兵効果があるという頑健な結果が得られた一方、他の援助国の開発援助にはそのような効果がないことが明らかになった。この先兵効果は日本の開発援助に特徴的といえるだろう。

 
面白いのは、日本の開発援助に「先兵効果」というものがあるということです。
先兵効果とは「被援助国のビジネス環境についての情報伝達や「準政府保証(quasi government guarantee)」によるカントリーリスクの低下、および民間投資の前に援助国特有の商習慣や基準を持ち込む(論文p.18より)」ことによって、援助が援助国からの直接投資の増加をもたらす効果です。
このような効果が本当にあるとすると、インフラ整備などの開発援助が直接投資の導入につながり、直接投資の受け入れの増加が経済成長につながるという説を立てやすくなる。
 
しかし、直接投資の受け入れが必ず受入国の経済成長につながるとは限らない。
国際協力銀行は次のような直接投資が受入国の経済発展に与える影響に関する論文を出している。
  
直接投資が投資受入国の開発に及ぼす効果
(http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/review/pdf/13_02.pdf)
 
この論文では、直接投資が投資受入国に及ぼす影響について様々な面から分析されているが、第3章において直接投資の受け入れが受入国の経済成長に与える影響に関する既存研究についてまとめられている。
その内容をまとめると「多くの研究は、受入国が教育水準、インフラサービス、地場の技術的能力、地場金融市場の発展といった面である程度のレベル(閾値)に達しないと、FDIが受入国にもたらす恩恵を全面的には享受できないことを示している。この「閾値外部性」に関する論議が、受入国におけるFDIと成長の相互関係の複雑さを浮き彫りにしている。(論文P.24より)」となる。
 
これより、外資の直接投資の受け入れによって経済成長を実現しようとすると、外資誘致を行って外資を呼び寄せるだけでなく、外資の存在を自国の発展に結びつけるために上で述べられた条件を整えなければならないことを意味することがわかります。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚

Burn

Burn

 
ハードロックの大御所ディープパープルです。通称ディプパプ(多分こんな呼び方するの僕だけですが。。。)
ディープパープルといえば、Smoke on the WaterとかHighway Starが入っている「マシンヘッド」とこの「Burn」が代表的なアルバムだと思うのですが、僕はこの「Burn(紫の炎)」の方が好きですね。
ボーカルがデビット・カバーディール(B'zの稲葉の憧れのボーカリストです。僕もめっちゃ好き!)とグレン・ヒューズツインボーカルに、ファンクやブルース色が入ったサウンド、リッチー・ブラックモアのギターソロはどの曲もすざましい限りです。
一曲目の「Burn」はハードロック史に残る名曲、他にも「Lay Down, Stay Down」や「You Fool No One」なんかもかっこいいっす。
そして「Mistreated」!ブルースの名曲です。デビットカバーディールの迫力あるボーカルと、リッチー・ブラックモアの切れ切れのギター、もう何も言うことないです、とりあえず聞いてみ。