NHKスペシャル「ライスショック!〜あなたの主食は誰が作る」

 
2回に渡り、放送された日本の米作りに関するドキュメンタリーでしたが、先日アンコール放送があったのでビデオに録画して視聴しました。
 
第1回目の「世界がコシヒカリを作り始めた」では、グローバルの視点から、アメリカや中国やタイなど米を作る国々が、日本のコシヒカリを作り始め、日本の米市場開放に備えている様子が描かれていました。
 
日本では、消費者の米離れが進む中(この半世紀で米の消費量は半分に減少)、米の価格が低下しているにもかかわらず米の販売量が減少し続けています。
国内のコシヒカリが余り、余ったコシヒカリが政府の貯蔵米となっている一方で、外食産業や弁当などの加工食品を中心に中国や米国からの安い輸入米が市場に浸透し始めています。
 
このような状況の中、世界の農家は高価格で売ることのできる日本米の製造が拡大しています。
この番組では、その様を一人のアメリカの貿易商を通じて取材していました。
 
まずは、アメリカからはじまります。アメリカのカリフォルニアでは、コシヒカリが日本の3分の1の価格で生産されています。今ある日本の米に対する高関税がなくなれば、日本市場への進出は十分可能であり、アメリカの米作農家は自由貿易を熱望しています。
一方、中国でも日本の大手商社と提携する事によって日本の技術を導入する事によって、中国での生産に適した改良版コシヒカリが生産されています。上海のスーパーでは日本のコシヒカリと中国産コシヒカリが並んで販売されており、中国産の価格は日本産の6分の1です。
 
一方、日本では米価格が低下する中で、農家が苦しんでいます。
日本で米が余っている事に注目したアメリカの貿易商は、新潟の独自ブランドを作っている農家を訪れ、台湾の富裕層向けの輸出をしないかと話を持っていきます。
話を受けた日本の農家は、本当は日本人に食べて欲しいけど、国内の米価が下落する中、生き残るためには海外に販路を見つけなければならないと、貿易商の話を受けます。
 
そして舞台は台湾に移ります。台湾では日本に先駆けて米の輸入が自由化されたために、アメリカやタイなど世界中からお米(コシヒカリ)が入ってきています。貿易商につれてこられた新潟の農家の方は、自分の作った米が富裕層向けのレストランなどで使われているのを見た後、台湾のスーパーで世界中から輸入されてきた米が熾烈な価格競争を繰り広げているのを見て愕然とします。そこに日本の将来を見るような気がしたからだそうです。
このような輸入米が価格競争を繰り広げる中、台湾の農家は窮地に立たされています。輸入品の到来によって米価が下がったために、米を作っても利益が出ず、土地を手放すものも続々と出ています。かろうじて生産を続けている農家も企業からの契約生産に従事せざるを得ず、厳しい品質要求に応えなければいけないと汲々としています。
 
このように、世界で日本の品種であるコシヒカリがどんどん作られていく中、日本は世界の国々からコメ市場の開放を迫られています。
 
第2回目の「危機に立つコメ産地」では、日本の農業の現状に焦点が当てられていました。
グローバルな日本の米市場開放への圧力の中、日本政府は農家の大規模化を進める事によって米生産の効率性の向上を実現しようとしています。
しかし、農家の大規模化はそんなに簡単なものではありません。
政府の施策にあわせて集落農業を進めようとする農村が取材されていましたが、仕事の分担、水田区画の整理など集落の農家の意見を合わせるのが大変な事に加え、米価が下落する中で大規模化の費用を負担することも困難です。
 
その一方で、中山間地の零細農家には政府の補助金が回らなくなり、これ以上農家を続けるかどうか悩む姿も描かれていました。
 
さらには、早くから大規模化を推進していた秋田の大潟村では、日本の中でも最大級の広さの水田を持っていながらも、近年の米価下落によって、利益を出すことができずに多額の負債を抱える羽目になってしまい、農協からの借入までも断られてしまい窮地に立たされている現状が描かれていました。
 
ほんと、日本の米はどうなるんでしょうか?ちょっと衝撃的なドキュメンタリーでした。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚

Led Zeppelin II

Led Zeppelin II

 
前回ディープ・パープルだったので、ハードロックつながりでレッド・ツェッペリンです。
ツェッペリンといえば、「天国の階段」や「ロックンロール」が入っている「Led Zeppelin 4」が代表的アルバムとされますが、この「2」もそれに負けないくらい有名なアルバムです。僕は「2」の方が好きです。
「Whole lotta love」や「Heartbreaker」、「Bring it on home」など、もうリフが最高ですね。重くて、かつノリがあってグラグラ来ちゃいます。
ハードロックの入門版として最適じゃないかと思います。