貿易黒字はどこに行くのか?

前回は、輸入をするための外貨を得るためには輸出が重要だというお話をしました。
輸入をするための外貨を得るためには、1)援助によって外国から頂く、2)外国人から借金をする、3)輸出をして稼ぐことの3つがあり、援助や借金を受けることなく国内に必要な物資を外国から輸入するためには輸出で稼がなければならないわけです。

日本は、原油や食糧などの多くを外国からの輸入に依存しています。これらの物資を外国から借金することなく調達するためには、日本の工業品の輸出がかかせません。

日本は製造業の国際競争力が非常に高いために多くの工業製品を外国に輸出しています。その輸出量は日本の輸入量を上回っており巨額の貿易黒字を計上しています。
例えば、2006年の日本の貿易収支はドル建てで約680億ドル(日本円で約7兆9000億円)でした。つまり、輸出で稼いだ外貨で輸入を行っても約680億ドルの外貨が残っているわけです。

では、この外貨はどこに行くのでしょうか?

外貨の使い道は大きく分けると二つしかありません。一つはモノを買うため、つまり輸入を行うため。もう一つは金融資産の購入です。例えばアメリカの国債や株式などドル建ての金融資産を買うための資金です。

日本が輸入に必要な金額よりも多くの金額を輸出で稼いでいるとするのであれば、その外貨は外貨建ての資産の購入のために使われているわけです。つまり、外国への投資のために使われているわけですね。

このように、日本が貿易によって外国から稼いだお金は投資資金となって外国へと帰っていくわけですね。まさにお金は天下の回り物のわけです。

同じように、石油産出国が石油によって外国から稼いだオイルダラーも、中国が世界の工場となって稼いだ貿易黒字も、最終的には外国への投資へと向かっていきます。

今日はこの辺で