推薦図書 伊藤元重(編) 「リーディングス 格差を考える 」

目次
 序章 格差論争を理解するために
 第1章 所得格差
 第2章 雇用格差
 第3章 若年の格差
 第4章 教育格差
 第5章 地域間格差
 第6章 米国における格差問題
 第7章 貧困への対策
 第8章 所得再分配政策
 終章 グローバル経済と格差問題

格差問題について、雑誌や新聞に掲載された記事や論文の中から、労働・教育・税制・グローバリゼーションなど様々な切り口からすぐれた文献を選んでまとめられた本。

グローバリゼーションと格差の関連では、第2章の「労働市場における格差とその要因」、第6章の「グローバル化を救うニューディール政策を」と終章に詳しく書かれている。

他では、技術進歩が先進国内における労働需要の二極化をもたらすことについて書かれている第1章の「先進国で広がる所得格差」、ゆとり教育の弊害について書かれている第4章の「見直すべきは人と金と時間の配分だ」、世間で言われている大都市と地方の格差が広がっているという議論は誤りだということをデータによって示した第5章の「地方と都会の格差は本当に広がっているのか」、イギリスとの対比から、なぜ最近の日本で階層化が進み始めているのかについて述べている第6章の「米国型の不平等社会になっていいのか」などがおもしろかったです。