90年代以降の貿易自由化は途上国の経済成長を高めたのか

Estevadeordal-Taylor(2008)
IS THE WASHINGTON CONSENSUS DEAD? GROWTH, OPENNESS, AND THE GREAT LIBERALIZATION, 1970s-2000s
NBER Working Paper 14264

前回は途上国の資本市場の自由化が途上国の経済成長に与える影響についての研究について紹介したが、この論文ではGATTウルグアイランド以降の途上国の輸入関税の引き下げと経済成長の関係について調べている。

アジア通貨危機とその後の中国やインドなどの経済発展に伴い、途上国に貿易自由化と資本市場の開放を迫るIMFなどのワシントンコンセンサスに対する批判が強まてっているが、この研究では途上国の輸入関税の引き下げが途上国の経済成長にプラスの効果をもたらしていると結論付けている。

特に、輸入関税の引き下げによる影響を、資本財・中間財の関税引下げと最終消費財の関税引下げの二つに分類しているところが面白いところで、資本財・中間財の関税引下げは途上国の経済成長にプラスの効果をもたらすが、最終消費財の輸入関税の引き下げは途上国の経済成長に余りプラスの影響を及ぼさず、貿易自由化と一言で述べるだけではなく、何の貿易自由化なのかを考えなくてはならないことを示している。

確かに、資本蓄積を行う途上国からすると、生産力の向上に必要な資本財は先進国から安く調達し、それを用いて最終財を生産するために、国内市場をある程度保護政策によって確保するというのは有力な政策なのかもしれない。そういう意味では当たり前のようだが面白い論文だと思う。

今日はこの辺で