スタグフレーションにはどのように対応すれば良いのか?

Economist's View より

"Re-thinking That ‘70's Inflation Show"

最近の原油を初めとする資源価格と穀物価格の高騰は、物価上昇と不景気の同時発生というスタグフレーションを世界にもたらすものだと様々な文献で述べられている。

マクロ経済学の基本的な論理では、好景気の時にはインフレ率が高まり、不景気になるとインフレ率は低下すると考えられるが、原材料価格の高騰がもたらすスタグフレーションでは不景気になるのにインフレ率は上昇するということが発生する。

このような状況では、金融政策の判断が難しくなる。不景気に対処しようとすると金融緩和が望ましいが、インフレを防ぐためには金融引き締めが望ましくなる。

Econnomist's Viewの記事ではアメリカの70年代のスタグフレーションの経験を元に、スタグフレーション時における金融政策について論考されている。

70年代のアメリカでは石油ショックを契機とする国内物価上昇は雇用減少をもたらした。通常、失業が発生すれば賃金が下落する事によって落ち込んだ労働需要が回復する事になるのだが、当時は労働組合の力が強く、物価上昇に対してそれに見合う賃金上昇の要求を経営者に突きつけてきた。
このため、失業はなかなか回復されず、不景気はなかなか収まらなかった。そこで、景気回復のためにアメリカは金融緩和を行うのだが、金融緩和は新たなインフレをもたらす事になり、インフレ→労働組合による賃金上昇の要求→回復しない失業→金融緩和による対応→更なるインフレという悪循環が発生したとこの記事では述べられており、雇用回復を金融緩和によって実現しようとしたことが、インフレの傷をより深くしたのだと指摘している。

この記事を見ると、アメリカのFRBはあくまでもインフレ率の抑制を目的に金融政策を決めるべきであり、今後原油価格の上昇などに伴い国内価格が上昇するようだと金融引き締めも考えなくてはいけないという事になりますが、今回のFRBの金融緩和は景気対策もありますが、金融危機の回避という目的もあるわけで、インフレ対策のために金利引き下げを据え置くことのリスクもあるのではと僕には思えるのですが、どうなんでしょうかねえ。

今日はこの辺で