バター不足は誰のせい?

最近バターが店頭から消えたと話題になっている。

店頭からバターが姿消す……高値・品薄、台所を直撃 (Yahoo!ニュースより)
4月26日17時6分配信 毎日新聞

スーパーなどの店頭からバターが次々に姿を消している。今年に入ってバターの店頭小売価格は、品薄で1年前に比べ20〜30円値上がりした。大手メーカーは原料の生乳不足を受け、4月からバターやチーズの値上げに順次踏み切っている。飼料高騰で生乳も値上がりし、乳製品が再値上げされる可能性もある。消費者は、品薄と相次ぐ値上げにほんろうされそうだ。【望月麻紀、小倉祥徳】

 ●原料の生乳が不足

 「お一人様1点まで」。埼玉県内のスーパーでは、掲示もむなしく入荷後2〜3日でバターの棚が空になる。客から「本当にないのか」と迫られても「原料不足なので」と答えるしかない。このスーパーは21日、大手メーカーのバター(200グラム)を30円引き上げて368円にした。

 業務用バターも手に入りづらい。東京都小平市のパン店経営、岩田淳一さん(45)は「バターを多く使うパンを減らすしかない」とこぼす。

 バター品薄の原因は原料の生乳不足。飲料用消費が伸び悩み、生乳はずっと生産過剰だったが、06年春に酪農家が生乳の大量廃棄や乳牛処分を進めたため、その後は生産量が絞り込まれた。メーカーは酪農家から購入した生乳で乳製品を作るが、鮮度が求められる牛乳や生クリーム、チーズの生産を優先し、バターは後回しにされることが多い。

その原因として、生産者は国際的な食品価格上昇を取り上げている。

雪印乳業、「バターの品薄」を説明−原因は海外製品の需給バランス (Yahoo!ニュースより)
4月17日14時14分配信 市ケ谷経済新聞

雪印乳業(新宿区本塩町)は4月16日、「バターの品薄」状態について同社サイト内にてリリースを行った。

 同社広報によるとバターの品薄は昨年末頃より続いていたが、最近になり「欠品となっている店頭がある」との報告や「なぜ少ないのか」との問い合わせが殺到。今回の公式リリースに踏み切ったという。

 同社は現状の背景として、海外の酪農生産と乳製品市場が大きく関わっていることを説明。近年、新興国などでの乳製品の需要が増加してきているが、干ばつや熱波などさまざまな原因により輸出の供給が減少。これにより日本への輸入量も減少し、国産品への関心が高まり急激に需要が増加した。結果、今回の「バター品薄」の状況に。

 以前の状況に戻る見通しついては「変動要素や気象要因が大きいため、明言できない」と説明。酪農生産者へは増産の依頼をしており、同社としても計画的に増産に向けて取り組んでいくという。

しかし、皆さんご存知だろうか?バターの輸入には高額の輸入関税がかかっていることを。

バターの輸入に関しては関税割当制度というものが適応されています。
これは、ある一定量の輸入までは定率の輸入関税(一次税率)で外国から輸入するが、一定の輸入枠を超えると高率の輸入関税(二次税率)が適応されるという制度です*1

バターに関しては、関税割当数量600トンまでは一次税率が35%ですが、その割当量を超えると29.8%+985円/Kgの二次税率となります。*2
この二次税率は一見わかりにくいですが、実質394%の輸入関税率となります。*3
こんなに高い輸入関税がかかってしまっては実質外国からの輸入はシャットアウトされてしまいますよね。つまり、二次税率はあるものの実質的にはバターの輸入量は政府が設定した関税割当量に制約されてしまうわけです。

簡単に言うとこの関税を撤廃するだけで、バター品薄の問題は解決しますよね。自分達で外国製品に障壁を設けておいて、外国製品の価格が上昇したから国内品の価格を値上げしますなんてずいぶんな言い方じゃないですかねえ、国内の生産者達よ。

しかし、これらのニュースを報じる番組も国際価格の上昇には触れても国内の輸入関税制度には全く触れないんですよね、不思議やねえ。

今日はこの辺で

*1:詳しくは農水省のHPのここをどうぞ

*2:この資料の第3表を参照しました。

*3:同じ資料の第5表を参照しました