技術のグローバリゼーションは進んでいる。

 
Voxより
 
Is distance dying at last?
(http://www.voxeu.org/index.php?q=node/535)
 
一般的に企業の生産技術や経営ノウハウといった知識というものは、簡単に外国や遠くはなれた地域には伝わりにくいものと考えられています。
なぜなら、企業の技術や知識というものは図面や言葉で完全に伝わるものではなく、人と人のコミュニケーションや、共同作業を行うことによって言葉では言い表せない部分まで伝わらなければならないからです。
例えば、僕は東大の学者がどんな研究をしているのかはその人の出版した論文とかを読む事によって知ることはできるけど、だからといってその学者の考え方や思想などを完全に知りたいと思えば、東大に行ってその学者の近くに行かなければそれを得ることはできないでしょう。
同様に、企業が外国の先端知識を得ようと思えば、その外国に生産拠点やR&D拠点を設立することが必要だと考えられていたのです。

しかし、最近はIT技術の発達やグローバリゼーションの進展と共に、先端技術や知識が急速に世界を駆け巡るようになっていることを指摘している文献が数多く出版されています。
その中の代表例がこれですね。

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

 
そんな中、実際に企業間の技術の流通はどうなっているのかという研究が数多く行われています。
過去の研究の多くは、技術や知識の流通における地理的近接性を指摘したものがほとんどでした。
例えば、日本で開発を行なう企業は日本で開発された技術を中心に用いて研究開発を行うことや、アメリカの先端技術は、日本に立地する企業よりもアメリカに子会社を持つ日本企業のほうが積極的に研究開発に用いていることなどといった事実が実証分析によって示されていたわけです。
このことを、技術の本国偏向(Home bias)といいます。つまり、ある国の技術を得ようとすると、その国に生産拠点やR&D拠点をを築かなければならないというわけです。
 
しかし、今回のブログ記事の筆者らによる新たな研究によると、最新のデータを用いた実証分析によると、この技術の本国偏向が弱まっていることが示されたのです。
つまり、アメリカの先端技術を日本に立地する会社が自らの研究開発に利用しやすくなっているということなのです。
特に、製薬やIT関連などの産業において本国偏向は弱く、化学や機械など伝統的な製造業ではまだ本国偏向は強いらしいです。
 
つまり、技術は特定の国の産業集積の中に留まるのではなく、世界中を駆けめぐりやすくなっており、我々は世界中の技術や知識を用いて新しい開発を行えるのです。
まあ、今僕がやっているように欧米の最新研究の動向がこんなに簡単に入りやすくなっているんですからね。それもそうなんでしょう。
 
技術のグローバリゼーションが進んでいるっちゅうことですね。
 
とは言え、本国偏向がなくなるとは思えません。都市経済の研究の中では情報が流通しやすくなっているからこそ、Face to faceのコミュニケーションを求めて人々が都市に集まるということを示したものあり、簡単に技術が流通するからこそ直接同じ地域に立地する事によって得る知識の価値が高まるとも考えられるからです。
 
まあ、いずれにしても今後どのように研究が進んでいくかは注目したいところです。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚
シンクロナイズド

シンクロナイズド

 
ジャミロクワイです。これは知っている人も多いでしょう。僕もデビュー当時からのファンです。
当時流行ったアシッドジャズの唯一の生き残りではないかい?
彼のアルバムもどれも名作ぞろいですが、僕の一番のお気に入りはこれ。ディスコ調のノリがたまんないです。