穀物価格の高騰はバイオ燃料のせい??

VOXより

What's causing global food price inflation?

最近最高値から下落し始めて落ち着いてきたが、この数年の食糧価格高騰の原因については、中国やインドなどの人口の多い新興国の成長による需要の増加や、投機マネーの流入や、欧米諸国によるバイオエ燃料の開発促進に伴うエネルギー向けの食料需要の増加などがある。

このブログ記事では、新興国の成長による需要の増加については、新興国内における農業生産が増加しているために、今回の価格高騰のそれほど大きな要因ではないと指摘、投機マネーの流入に関しては、穀物の在庫率が増加していないことから、投機目的の需要の増加ははっきりと観察できないと指摘しており、穀物価格上昇の主要な原因はバイオ燃料の開発推進に伴う穀物需要の増加だとしている。その理由として、2005年からの穀物需要増加の60%がバイオ燃料向け需要の増加であることを指摘している。

バイオエタノールの生産促進とと穀物価格高騰の関係については三菱東京UFJ銀行「エタノールは食料価格急騰の一因か? エタノール生産促進を巡る米国の葛藤」と題されたレポートでも指摘されている。

アメリカにおけるバイオエタノール穀物価格高騰の原因だと言う議論に対して、エタノール産業擁護者は、食糧価格の高騰は原油価格高騰による燃料費および輸送費の増加であると反論している。しかし、このレポートの中でも示されているように、アメリカよりも効率よく生産できる世界最大のエタノール輸出国ブラジルからのエタノールの輸入を制限しながら、非効率なエタノール生産を補助金によって続けることが食糧価格を歪めていると僕には思われてならない。

これも食糧と同じくエネルギーは自国で生産しなければならないという安全保障の考えが、経済的非効率をもたらす例であろう。

しかも、問題はこれで終わりではない。今年は米国内のとうもろこし生産地で大洪水が起こっており、供給減からトウモロコシ価格はさらに上がりそうであり、これによってトウモロコシを原料とする米国内のエタノール産業は、利益を出せず苦しむことが予想されている*1。これでも、米国はバイオエタノール生産を促進しようというのだろうか。。。

今日はこの辺で