選択的移民受け入れはどれだけ有効か?

VOXより

Selective immigration policy: will it work?
(http://www.voxeu.org/index.php?q=node/931)

移民の受け入れに関して、先進国は単純労働者の受け入れを制限しようとする一方で、ITや医療・教育などの分野の熟練労働者に関しては積極的に受け入れようという傾向があります。このように、能力のある移民を選んで受け入れようとする政策を選択的移民受け入れと呼びます。

このような選択的移民受け入れ政策はアメリカやカナダ、オーストラリアで積極的に行われています。特にオーストラリアやカナダはポイントシステムというものを導入して移民の技能(資格や職務経験)をポイントに評価したうえで高いポイントの労働者を受け入れています。

欧米諸国では、イギリスがこのポイントシステムを導入しており、フランスもこれに続いていますが、EU全体では移民受け入れは難民やすでに国内に住んでいる移民の家族が中心であり、積極的な選択的移民受け入れは行われていませんでした。

このため、世界の優秀な外国人労働者アメリカやオーストラリア、カナダのような国々へと優先的に移り住んでいき、ヨーロッパには集まらないという不満が出ています。
ブログ内にリンクされているTIMEの記事によると、このことから今EUでは熟練労働者に永住権を与えるためのブルーカードというものを作ろうという動きがあります。

ブログの記事内の表にあるように、移民の中で高学歴者の割合は、カナダ(38%)、オーストラリア(37.9%)、アメリカ(25.9%)に対して、ヨーロッパはイギリスが30.5%である以外は20%を少し超えたか10%台と低いために、選択的移民受け入れの結果このような違いが生じたという説に説得力が生じています。

それに対して、ブログの記事では、近隣に教育水準の高い国が多ければ移民の教育水準も高くなるし、逆もそうだという地理的な偏りを考えると、この差はそれほど大きくないと考えています。
例えばアメリカは隣にメキシコがあるため、教育水準の高くないメキシコからの移民が多くなりやすいために、カナダやオーストラリアに比べて高学歴の移民の割合は少なくなりやすくなるわけです。

このような地理的な要因を考慮したうえでデータを整理しなおすとヨーロッパの国々とカナダ・オーストラリア・アメリカとの高学歴移民の割合の差はある程度縮まることがこのブログ記事では述べられており、選択的移民受け入れ政策を行っているかどうかという要因はそれほど大きくないのではないかと筆者は述べています。

う〜〜ん、どうだろう?地理的要因が影響を与えることは確かとは言え、それを修正しても差は空いているわけだし、選択的移民受け入れ政策の影響は無視できないと思うんですけどね。

今日はこの辺で