マイクロファイナンス改善の鍵は"Flexibility(融通性)"
VOXより
Is microfinance too rigid?
(http://www.voxeu.org/index.php?q=node/778)
マイクロファイナンスといえば、去年ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスによって始められた貧困層向けの無担保小額融資のことである。
これにより、途上国の貧困層(そのほとんどが女性)が、自ら個人事業を始める事によって貧困からの脱出を遂げることが可能となり、多くの人々が救われていることは皆さんもご存知だと思います。
しかし、実際に途上国の貧困層がみなマイクロクレジットを利用しているかといえばそうでもないようです。このBlog記事によると、途上国の貧困層の中には、マイクロクレジットからの融資を受けることが可能であっても、一部はマイクロクレジットよりも利子の高い別の金融機関から借入を行うことがあるそうです。
なんで、わざわざ金利の高い貸し手から借りなければならないのか?その原因に”マイクロクレジットは返済スケジュールの融通が効かない”ということがあるそうです。
このBlog記事によると、貧困層の問題は”所得が少ない”ことよりも”所得の変動が激しい”ところにあるそうです。天候に左右される農業、安定した定職のない労働者が貧困層の多くを占めていることを考えると、理解できる話です。
これに対し、マイクロクレジットの多くは返済スケジュールが固定されています(定率の利子、返済の遅れは許されない)。このため、月々、もしくは週ごとの所得が不安定な貧困層にとってはマイクロファイナンスは不便なものと捉えられることがあるのです。
すなわち、貧困層の収入の不安定性と、マイクロクレジットの返済の固定性が一種のミスマッチを起こしていると、指摘されているのです。
このミスマッチを解消するためには、マイクロクレジットを提供する側は返済スケジュールについてある程度の融通性(Flexibility)を持たせる必要があります。すなわち、貧困層の借り手の収入が落ち込む時期に返済の猶予を受け入れる余地を作るのです。
ただし、この融通性(Flexibility)を導入するには様々な問題があります。
- 運営の難しさ (顧客の所得の変動に合わせて返済スケジュールを変更していくことよりも、固定した返済スケジュールを顧客に課す方がはるかに楽)
- 現金確保への障害 (例えば、自然災害の発生で借り手の多くが返済を引き延ばしたとき、貸し手は他の顧客に融資をしようと思っても、返済されるはずの現金が帰ってこないために融資できなくなる恐れがある)
- 回収担当者のモラルハザード (回収者が、顧客が返済を引き延ばしたと嘘をついて自分の懐にお金を入れる可能性がある)
- 借り手側のモラルハザード (災害や不慮の不幸による所得減少ではなく、楽をするために返済を引き延ばす可能性がある)
にもかかわらず、融通性(Flexibility)を導入することは、マイクロクレジットを提供する側にも次のような理由により貸し出し規模の増大を実現させます。
- 貸し出し規模の拡大 (返済スケジュールが固定されている時、借り手は返済不能となることがないように、自らの所得が最低となるときの所得を元に借入額を決めるが、返済スケジュールに融通を利かせる事によって借り手はより多くの資金を借り入れるようになる。)
- 貸し出す側のコスト削減 (例えば、農業や畜産業のように季節による所得の変動がある程度わかる場合には、借り手の所得が少なくなる時期の返済スケジュールをあらかじめ緩くする事によって、借り手の返済がスムーズに進行するように設定すると、返済を取り立てる側のわずらわしさも少なくなる)
- 借り手の増加につながる (固定された返済スケジュールを嫌がっている人々がマイクロクレジットから借り入れやすくなる)
- 借り手が借入資金を有効に活用できる (返済スケジュールをうまく組む事によって、借り手は借り入れた資金を、より長期的な投資へと用いることができる)
では、どのようにマイクロクレジットは融通性(Flexibility)を導入すればよいのか、Blog記事内では次の3つの提案をしています。
- 借り手が農家や畜産業など季節によって所得が変動することがわかっている場合には、所得が少なくなる季節には返済額を少なくなるほど、貸し出しをする時に借り手の所得の変動に合わせて返済スケジュールを前もって調整する。
- 借り手が一時的に一定期間の返済額を少なくすることができる権限を与える。しかし、その後の返済額は大きくなるようにする。
- 追加融資ができるようにする
まあ、これがうまくできるかどうかは別として、マイクロファイナンスもその融資方法に工夫を凝らすことによって、借り手側も貸し手側もお互いの便益を向上させることができる余地がまだまだあるんだということが面白かったです。
そう言えば、日本でマイクロクジレットなんてのはあるんですかねえ。。。。
今日はこの辺で
- アーティスト: The Red Hot Chili Peppers
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1999/06/03
- メディア: CD
- 購入: 3人 クリック: 49回
- この商品を含むブログ (141件) を見る
もはや大御所としてロック界に君臨しているレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、略してレッチリです。
最近、題名忘れたけどペンギンがサーフィンしている映画のCMで、このアルバムに入っている「Get on Top」がかかっていたので選びました。
レッチリについてはすっかり落ち着いた貫禄のついた今のサウンドより、僕は「Mother's Milk」のようなファンク・パンク色の濃い初期のサウンドの方が好きなんですが、ちょうどその境目になったアルバムがこのアルバムですね。大ヒットしたアルバムです。
そう言えば、浜崎あゆみがレッチリ大好きだってなんかで聞いたことがあります。いいセンスだ。ではでは