都市の時代へ

 
International Political Economy Zoneより
 
Coming in 2008: An Urbanized World
(http://ipezone.blogspot.com/2007/11/coming-in-2008-urbanized-world.html)
 
IMFの雑誌"Finance & Development"の2007年9月号によると、世界の人口を都市に住んでいる人口と、田舎に住んでいる人口に2分するとき、都市に住んでいる人口が世界人口に占める割合は、1950年代の30%前後からどんどん上昇していき、2008年にはついに世界人口の50%(半分)に達し、2030年には60%にまで上昇するそうです。
 
すなわち、世界は半分以上の人口が都市に住む、いわゆる「都市の時代」となっているのです。
 
この傾向は、この図が示すように、先進国よりも途上国において強く、途上国における都市化の進展が、世界経済が都市の時代へと転換する大きな要因となっています。
 
このような都市化が進展する要因は次の3つだと考えられています。
一つは、田舎から都市への労働移動、二つ目は都市の人口増加(これが都市人口増大の60%を説明)、三つ目は田舎において人口増加が発生した結果、田舎が都市へと変貌するという現象です。
 
このような都市化の進展が経済にどのような便益と損失をもたらすのか?IMFの記事では次のように書かれています。
 
まず、都市化の便益として挙げられているものは次のようなものです。
1)都市に住んでいる人々の生活水準の向上
  都市に住んでいる人々の平均所得は田舎に住んでいる人々のそれに比べて高いことに加えて、
  交通・運輸、通信、水道および衛生面などの生活インフラおよび教育水準が田舎に比べて都市のほうが
  はるかに優れているために、都市に住んでいる人々の生活水準は田舎に住んでいる人のそれよりも
  非常に高いものとなります。
 
2)都市化による経済の効率化
  都市化が進む事によって、経済の効率性が実現する理由は、2つあります。
  一つは、田舎から都市へと労働が移動するということは、田舎の低生産性の農業から、
  高生産性の都市の工業・サービス部門へと労働が移動することを意味しているために、このような
  労働移動は国の経済の生産性向上につながるということ。もう一つは、いわゆる「集積の経済」と
  よばれるもので、多くの企業が都市に集中する事によって、企業間分業が促進され、専門的な優れた企業を
  生み出したり、都市に高度教育を受けた専門家や創造性のある人々が集まるために、新しい発明や技術進歩が
  都市の中で促進されることなどがあげられる。
 
3)都市化は田舎における所得の向上にも貢献する。
  田舎から都市に出稼ぎに出た労働者は、故郷である田舎に都市で稼いだお金を送金する事によって、
  田舎の所得向上に大きく貢献している。また、都会へと流出する労働が多くなると、田舎における過剰な労働
  供給が改善されるために、田舎で働く労働者への賃金の上昇ももたらされる。このため、都市化は都市内の
  貧困減少より、田舎の貧困減少に大きく貢献している。
 
実際に、都市化の進展が国における一人当たりGDPを増加させるということを示した実証研究はまだないものの、都市化がその国の経済発展に与える影響はこのように大きなものがある。
しかし、都市化がその国の経済発展の妨げになるという主張もある。それは次のようなものである。
 
1)混雑効果による生活環境の悪化
  交通の混雑、産業の集中、不十分な下水処理能力や環境汚染の問題は都市の生活環境を悪化させる。
 
2)都市の所得は田舎に比べて高いが、貧困率も高い。
  途上国においては、都市人口の増加率よりもスラムに住む貧困層の割合の上昇率のほうが高い。
  このため、途上国の都市内における貧富の格差は非常に大きなものとなっている。都市では住居価格が
  どんどん上昇していくため、低所得者層はスラムへと追いやられる。スラムでは、水道や衛生施設が
  劣悪であり、住環境は混雑しており非健康的である。特に、アジアとサハラ以南のアフリカにおいて
  スラムの人口は大きく、南アジアでは都市住人の約50%が、サハラ以南のアフリカでは都市住人の
  約72%がスラムに住んでいるといわれています。
 
3)犯罪や暴力の増加
  都市における人口の増加は若年層の増加につながる、この若年層の多くがスラムで生活している。
  スラムでは雇用機会も少ないため、貧困と失業からスラムに住む若年層が犯罪へと走る可能性は高い。
  国連の調査によると2030年にはスラムに住む人口の約60%は18歳以下となるらしい。
 
このように、都市化の便益と弊害はそのどれもがなるほどと納得できるものである。何事にもいい事と悪いことがあるのは当たり前のことである。
大事なことは、これらの便益と弊害を把握した上で、便益はより多く、弊害はより少なくなるように、都市計画を設計していくことだろう。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚

ステイ

ステイ

シンプリーレッドはボーカルのミックハックネルを中心とするユニットで、もうデビューしてから20年以上経つ大ベテランです。
僕ははじめて聞いたのは中学生の頃、まだ2枚目のアルバムの頃なので、めっちゃ長い付き合いです。
このボーカルのミックハックネルの声がすきなんですよね。絹のように甘くやさしく、そして声を張らすところではしっかりと強く歌えるという僕が理想とするボーカリストです。
日本では、つい最近「Stars」という曲がクルマのCMで使われていたので、その曲を聴けば、「ああ、あれね」ってわかってもらえるとは思うのですが、本当に歌のうまいボーカリストです。
今回紹介するこの「Stay」はそのシンプリーレッドの今年発売された新作です。相変わらず甘くソウルフルな歌声です。おしゃれな洋楽を聞きたい人には是非お勧めです。