グローバリゼーションの時代における国家の発展戦略

 
国際経済学とは、簡単に言ってしまえば、貿易や国際資本・労働移動など国境を越えたモノ・カネ・ヒト・そして技術や知識の流れについて、どのような政策を行えば、その国がより豊かな国となるのかについての学問である。
自由貿易や自由な国際資本・労働を認めるのが良いのか?もしくは、貿易の制限や、資本・労働の移動を制限することの方が国内の経済のためには良いのか?
そのことを分析するために、経済理論モデルや統計データを用いた実証分析を行っているのである。
 
しかし、その根本はそれほど難しいものではない。
 
自由な貿易を行い外国から安く買えるものは外国から輸入し、国内では外国に比べて生産性の高いものに労働や資本を集中させる国と、得意な産業も苦手な産業もすべて国内で生産しようとする国とでは、明らかに前者の方が豊かな国だろう。
外国の投資家に魅力的な投資先だと思われて、外国から資金が流入してくる国と、国内の企業の資金調達先が国内の金融機関や投資家しかいない国と、どちらの国がよく栄えるのかといえば、明らかに前者の方が栄えるだろう。
外国の優れた専門・熟練労働者がその国での成功を夢見てどんどん集まってくる国と、外国の優れた労働者までをも排除しようとする国のどちらの国が新しい技術や知識、そして企業がより多く生まれてくるのかといえば、これも明らかに前者だろう。
 
グローバリゼーションが進んでいる現在、世界中からモノ・カネ・ヒトが集まってくる国が世界で最も発展する国なのである。
その代表的な例が、アメリカ、イギリスであり、EUやBRICsにもこれらのものが集まってきている。
 
これに比べて、日本はどうなのだろうか?
食品価格が値上がりする中で、穀物に対する輸入関税を下げようとする動きは起こらず、原油価格が上昇しても揮発油税暫定税率の解除には難色を示す政府、外国の投資家はハゲタカ呼ばわりし、外国からの労働者や観光客には諮問押捺や顔写真の撮影を義務付け、まるで犯罪者扱いだ。
さらに言うと、日本国内の優秀な企業は国外に続々と生産拠点を移す一方で、国内の金融機関は低金利で家計から預かったお金を国内の企業よりも日本国債や外国の企業や債券へと投資をする始末、優秀な若者は日本的縦社会に嫌気がさし、外資系企業に勤めるか、外国に行って自分の能力を認めようとしてもらおうとする。
こんな国が今後栄えていくとは思えるはずもない。
 
日本は戦後、国内の人材・資金・技術・知識をフル活用することで、経済発展を遂げてきた。そして、輸出や企業の国外進出が進む中で、その経済的地位を向上させてきた。だから、外国から資金・人材を受け入れる事に抵抗を持つのもわかる。
しかし、時代は変化している。モノを海外に売り、稼いだ資金を外国に投資するだけでは国内の経済は活性化されないし、少子化が進む中、国内の若者だけに日本の将来を委ねるのはあまりにも荷が重過ぎる。
 
もちろん、いいことばかりではない。自由貿易を進めようとすると、輸入産業の縮小に伴い、失業する労働者を新たな成長産業に振り分ける産業調整が必要となるし、アメリカは世界中からお金を集めすぎた結果、今サブプライムローンの問題で苦しんでいる。イギリスは他のヨーロッパの国々に比べて移民に対する政策が肝要だったが、テロが起こってしまった。
自由な貿易、資本・労働の受け入れをうまく国家の反映に結びつけるためには、これらの様々な困難も伴う。
しかし、困難があるからグローバリゼーションは嫌だと拒絶しようとするのか、困難を乗り越えながらグローバリゼーションに適応しようと努力するのとどちらが日本の今後の発展につながるのだろうか?
もはや言うまでもないと思う。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚

Blue Condition

Blue Condition

ボビー・コールドウェルは昨日紹介したシンプリーレッドのミックハックネルにならんで僕の好きなボーカリストの一人です。
彼もキャリアが長いんですが、もともとはAOR(Adult Oriental Rockだったかな?)の代表的なミュージシャンで、ボズスキャッグスにも曲を提供しているのですが、その彼のスタンダードジャズのカバーアルバムです。「Girl I Dream About」はシャンプーのCMソングで使われていました。「Stuck On You」や「I Get a Kick Out of You」は昔ボーカルスクールに通っていた時に課題曲にしていた歌です。
シンプリーレッドと同様、あま〜い音楽が好きな人にはお勧めです。