貿易自由化と資本移動の自由化が国内の所得格差に与える影響

 
先日、IMFによるグローバリゼーションと国内の所得格差の関係に関する記事を書きましたが(グローバリゼーションと格差の関係)、その中で、貿易の自由化は国内の所得格差を縮小させるように作用するのに対し、資本移動の自由化は国内の所得格差を拡大させるように作用することが示されていました。
 
なぜこういう結果になるのでしょうか?
 
資本移動の自由化については、IMFの報告書の中で、資本移動、中でも先進国の多国籍企業による直接投資が格差に与える影響について次のように述べられていました。
まず、先進国の立場から見ると、多国籍企業が労働賃金の安い途上国へと生産拠点を移転させていくと、先進国内の未熟練労働者に対する労働需要が減少してしまうために、国内の未熟練労働者と熟練労働者の所得格差の拡大へとつながることが指摘されています。
今の日本でも、多国籍企業化している製造業企業の利益は増加しているにもかかわらず、労働者の賃金は伸び悩んでいることを考えるとこの話は納得できるものがあります。
一方、途上国の立場から見ると、先進国の直接投資の流入は国内の熟練労働者の労働需要を増大させるために、熟練労働者と未熟練労働者の賃金格差は拡大していくと指摘されています。途上国の国内企業と比べると、先進国の多国籍企業の生産性も高く優れた技術を持っているために、途上国に進出した先進国多国籍企業は現地労働者の流出を防ぐために、現地企業よりも高い賃金を提示するために、多国籍企業の進出は国内の格差を広げるように働くのでしょう。
 
では、貿易自由化が国内格差の縮小をもたらすのはどういうわけでしょうか?
途上国のケースがわかりやすいでしょう。途上国が貿易自由化を行うと、比較優位を持つ労働集約財の輸出・生産が増大していきます。途上国は未熟練労働者が豊富に存在して低賃金であるがゆえに、労働集約財に比較優位を持つのですが、労働集約財の生産が増加していくと、未熟練労働者に対する労働需要がどんどん増加してくために賃金は増加していき、これが国内格差の縮小へとつながるのです。
 
IMFの報告書では、途上国に関しては特に農業の貿易自由化が国内格差の縮小に与える影響が大きいと指摘されています。農業といえば途上国の中でも貧困層ですから、輸出が増加して生産が拡大することによって農民の所得が向上するとそれは国内格差の縮小への大きな力となるでしょう。
 
今日はこの辺で
 
今日の一枚

TMC

TMC

 
グループ魂です。クドカンこと宮藤官九郎がギター、舞妓Haaaan!!!出演の阿部サダヲがボーカルのロック・パンク・コミックバンドです。
そんなグループとはいざ知らず、CD屋の試聴コーナーで聞いて、あまりの馬鹿らしさに思わず買ってしまいました。
いやあああああああ、ほんとこんな馬鹿らしいバンドがあったなんてほんまびっくりですよ、なんだこのギャグと下ネタの嵐は!
正直女性には絶対お勧めできません。でも、コントもあっておもろいんだよね、ほんま。さすが劇団上がりのバンドだけあります。
それに、サウンドは結構かっこいいんですよね。べたべたのロック・パンク系なんですが、勢いあるし、ギターガンガン鳴らしているし、それに阿部サダヲのハイテンションボーカルも良いしね。
まあ、べたべたのラブソングなんてやられるより僕はこれくらい馬鹿やってるほうがまだ好きですよ。