推薦図書 ティム・ハーフォード 「人は意外に合理的」

人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

著者は少し以前に「まっとうな経済学」を書いた人である。

「まっとうな経済学」は、王道の経済学のロジックを日常の問題と上手く絡めて述べられており、経済学の入門書として優れたものであったが、今回の本は少しマニアックというか、「ヤバい経済学」に近い、経済学のロジックを使って社会の謎を明らかにしようというスタンスの書物である。

ロジックは一貫しており、離婚や差別問題や会社内の不公平な報酬体系など、人間の不合理と思われる行動や理不尽に思われる社会制度というものが実はいたって合理的なロジックによって生み出されているということだ。
取り上げられているトピックは、従来社会学者が取り上げそうなもので、経済学者には縁遠いものと思われていたが、経済学的ロジックを用いることで従来とは違った解釈を展開しているところが非常に面白い。

離婚やセックス、ギャンブルといった個人の行動から、差別や犯罪といった社会問題、果ては保護貿易政策や革命といった政治問題まで、様々なトピックが「人々はインセンティブに反応する」という経済学の原理で読み解くロジックはくどいようで非常に痛快だ。

社会の仕組みを違った角度から見たいと思う人には一度読んでみてほしい本である。

まっとうな経済学

まっとうな経済学

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]