農業を中心としたグローバル戦略・産業活性化戦略

野村総合研究所 知的資産創造 2008年10月号より

グローバル市場創造による日本の農林水産業の競争力強化

最近、日本の農作物の輸出が増加していることを受けて、日本の農作物市場の拡大が他産業のビジネスチャンスにもつながることを示しているレポートで、単に農作物の輸出を伸ばしていきましょうというだけでなく、バリューチェーンの強化を通じた他産業の活性化まで視野を広げているところが興味深かった。

話の筋は簡単に言うとこんな感じです。

  1. 近年、アジア諸国の経済発展に伴う所得増加によって、富裕層を中心に日本産の農作物の輸出が増加してる傾向にあること。
  2. 日本の農作物に対する需要の拡大は、農業だけでなく垂直的展開・水平的展開による農業関連ビジネスのビジネスチャンスの拡大につながる。
  3. 垂直的連関は「生産」→「収穫」→「販促」→「流通」→「加工・製造」のバリューチェーンの生産性・付加価値を高める事業であり、農作機械や流通業さらには、農作物を原材料とする食物産業・化粧品・医薬品などの業界との連携を強化する事である。
  4. 水平的連関は、観光業や外食産業など地域資源を活かしたシナジー効果を狙ったものであり、農作物を活かして地域の活性化を図るものである。
  5. これらの産業活性化はグローバルの視点で行うべきで、アジアへの輸出を拡大する事によって、垂直的・水平的連関をアジア大に拡大して日本の農作物に関する市場を確立すること、地域活性化についても、日本人向けだけでなく外国人観光客の取り込みを狙うといったことを推進するべきだ。

なかなかスケールが大きな話だと思う。ただおいしいものを作ればいいというだけでなく、産業発展のグランドデザインを描き、多くの企業・産業を巻き込みながら付加価値を高めていくという視点がないと経済全体の活性化にはつながらないだろう。

今日はこの辺で