大恐慌(1929年)以降の保護貿易の進展と国際貿易の縮小

通商白書2002の第1章に第1次世界大戦と第2次世界大戦の戦間期の主要国の輸入関税率と世界貿易の推移を示した図表があったので添付しておく。

この表は通商白書2002の第1−1−6表である。これを見ると、1913年や27年の時点でも十分輸入関税は高くなっているが、大恐慌(1929年)の前後で欧米諸国の輸入関税率が急上昇していることがわかる。アメリカのスムート=ホーレイ法と西欧諸国のブロック経済化の進展がもたらした結果である。

この図は同じく通商白書2002の第1−1−8図である。大恐慌が発生した1929年における値を100として、世界貿易の数量・価格・金額の推移が示されている。これを見ると、大恐慌をきっかけに世界貿易が急速に減速していることがわかる。結局、1939年の第2次世界大戦勃発まで世界貿易は元の水準には戻らなかったのである。

元々、国内産業を輸入から守り、雇用を維持するために、アメリカはスムート=ホーレイ法を制定したわけだが、世界貿易の縮小はアメリカの輸出産業の縮小を招いてしまい、アメリカ経済の痛手はさらに大きくなってしまった。失業率は大恐慌直後の1930年には9%だったものが1932年には25%となり、アメリカの工業生産が世界全体に占めるシェアは大恐慌が起こった1929年には43.4%だったものが、第2次世界大戦直前の1938年には28.7%にまで落ち込む事になってしまったのである。

このように、近視眼的な国内産業保護政策では、世界的な恐慌を乗り越えることができないことは歴史が示しており、我々はこのことを今こそ忘れてはいけないと思います。

今日はこの辺で