日本地域学会での研究報告

10月25日の土曜日にはこだて未来大学で行われた日本地域学会で「外国企業のR&D活動誘致政策の経済分析」という題で研究報告を行いました。報告要旨を公開しておきます。

本稿では、異なる国に本拠を持つ多国籍企業が直接投資を相互に行なっている2国2多国籍企業モデルを用いて、外国企業のR&D活動誘致政策の経済分析を行う。R&D投資が同国に設立されている競合企業に技術のスピルオーバー効果をもたらすとき、多国籍企業は、相手企業からの技術のスピルオーバーを得るために、保有しているR&D資源の一部を国外子会社に配分する。このとき、政府は外国企業のR&D活動誘致を目的とした補助金政策によって自国企業の利潤を増加させることができる。両国政府が外国企業のR&D活動の誘致競争を行う時、両多国籍企業の国外子会社に配分するR&D資源の量が増加するため、両企業間の技術のスピルオーバーは拡大し、両多国籍企業と両国政府は共に経済的便益を得る。これに対し、両国政府が自国企業の親会社におけるR&D活動に優遇措置を行うことによって自国企業のR&D活動の引止め競争を行うときには、両多国籍企業の子会社に配分するR&D資源の量は共に減少する事になり、両企業の得る技術のスピルオーバーは縮小し、両多国籍企業は共に損失を被ることになる。