CO2排出規制政策について考慮しなければならないこと

Free exchangeより

The path to American climate policy

今行われているサミットの中心課題の一つ地球温暖化対策、CO2排出削減に消極的な姿勢が批判される米国だが、次期大統領の両候補が温暖化対策を公約を打ち出していることから遅かれ早かれ米国もCO2対策を行っていく事になるだろう。

CO2排出抑制の政策としては排出権取引環境税がある。二つの政策の違いについては中国電力エネルギア総合研究所が発行したこのレポートが参考になる。

レポートより両政策の特徴と問題点を抜粋すると次のようになる。

環境税の特徴
・導入コストがあまりかからない
・税収を活用した削減対策が可能
環境税の問題点
・計画どおりに削減できるか不明
・税率の変更が容易ではない
・産業の国際競争力の低下
・既存のエネルギー税制との関係
排出権取引の特徴
・計画どおりの排出削減が可能
・途上国への投資が促進される
排出権取引の問題点
・導入コストがかかる(排出枠設定,排量モニタリング,取引所創設等)
・価格変動に伴う企業リスクの増大

池田信夫Blogで指摘されているように、経済学者の多くは環境税の方を指示している(「ポスト京都議定書」「京都議定書よりも賢明な政策」「環境税」)。
とは言え、政治的な流れではキャップアンドトレード方式の排出権取引市場の導入が優勢のようである。

今回紹介するFree exchangeのBlog記事では、アメリカが今後温暖化対策政策を行ううえで考慮しなければならない3つのポイントを提示している。

一つは、排出権取引だと、排出権価格が市場によって決まるためにCO2削減コストに関する不確実性(価格変動リスク)が発生する。このため、CO2削減コストが急騰しないための制度が必要となること。
二つ目は、温暖化対策政策を行うことによって、企業が排出規制の弱い国へと立地を移転しまい米国の競争力が弱くなってしまうという懸念があるため、競争力維持のための政策も同時に考えなければならない。
三つ目は、カリフォルニアなど米国の州には独自の排出権市場を設立してCO2排出削減を実現しようとする動きがあるが、地域によって異なる排出権市場が存在することは米国全体での排出権市場を制定する際に政策の重複などの混乱を生む可能性があるために注しなければならないことである。

今日はこの辺で