移民は受け入れ国の財政に貢献するのか?

Voxより

The fiscal effects of A8 migration to the UK

移民の受け入れの経済効果と言うと、自国民の労働者の賃金に与える影響など労働市場に関係するものが多いが、移民受け入れの経済効果を考える際のもう一つ大きなトピックに、タイトルにあるような受け入れ国の財政に与える影響がある。

一般に、移民の受け入れは、受け入れ国の財政状況に悪影響をもたらすものと考えられている。移民が得る賃金は自国民の労働者に比べて低いために移民から得られる税収はそれほど大きくない一方で、社会保障の支出などはかかると考えられているのがその理由だ。

しかし、今回紹介するブログ記事で紹介された論文では、移民の流入がイギリスの財政負担に悪影響を与えるどころか、イギリスの財政改善に貢献していることが示されている。

2004年3月に中東欧8カ国(チェコスロバキアエストニアラトビアリトアニアスロベニアポーランドハンガリー)がEUに加盟したときに、これらの国からの労働者の受け入れを多くの国が7年間先延ばししたのに対し、イギリス、アイルランドスウェーデンなどわずかな国が中東欧諸国からの労働者の受け入れを即座に認めました。

この措置によってイギリスにやってきた中東欧諸国の移民がイギリスの税収と社会保障支出にどのような影響を与えているのかがブログ内で紹介されている論文で分析されている。

その結果は、イギリスにやってきた移民は自分たちの納税額以上の社会保障を受けておらず、イギリス政府の財政を改善させる効果を持つことであった。

中東欧諸国からイギリスにやってきた移民は、イギリス国民に比べて比較的学歴が高い[大卒以上の学歴を持つ比率がイギリス国民が17.1%に対し、移民は35.5%]にもかかわらず、平均賃金はイギリス国民に比べて低い水準に甘んじている。しかし、若年層が多いことから労働力率及び就業率が高い[労働参加率はイギリス国民は78.9%に対し、移民は88.4%]ために、納税や社会保障の負担に大いに貢献している。

その一方で、移民のうちで社会保障などの公的支出による便益を受ける人の割合はイギリス国民に比べて低く、公営住宅に住んでいる人の比率も低いことから、移民が社会保障などの公的支出から得る便益は低いものとなっている。

このため、移民の存在はイギリスの財政改善に貢献している。移民は自分たちが得る財政支出の1.37倍の納税をしているのである(2008-09年)。

日本の財政赤字は今回の選挙の争点にもなっているが、その解決としても移民の受け入れを考えるべきと思われますね。

今日はこの辺で