経常収支不均衡に関するサーベイ研究

日本銀行金融研究所 金融研究第27巻第4号より

萩原 景子 「経常収支不均衡の調整過程:近年の理論的分析の展望」

(要旨)
 本稿は、経常収支不均衡の調整過程に関する近年の理論的分析を展望する。まず、経常収支不均衡はいずれゼロ均衡に向かうとの前提に立って、財市場・資産市場での調整を中心に、実質・名目為替レートの調整過程を考察する。次に、国際金融市場における経常収支不均衡調整過程において、近年注目されている評価損益効果について解説する。最後に、経常収支が黒字の国と赤字の国が、長期的に並存しうるとの議論を多国間均衡モデルに則して紹介したうえで、アジアを中心とした新興市場諸国が米国の経常収支不均衡調整過程で果たす役割について若干の考察を行う。

今回の世界金融危機は、アメリカの投資銀行モデルの崩壊というだけでなく、巨額の経常収支赤字を持つアメリカと、経常収支黒字を為替操作によって維持しようとする中国を初めとする新興工業国からなる世界モデルの破綻を意味するものだと思われる。
今後、拡大した世界の経常収支不均衡がどのように調整されるのかを知るうえで、今回紹介した論文は非常に興味深いものだと思う。

これからじっくり読んでみようかと思います。

今日はこの辺で