経済産業研究所「開発援助の経済学」研究会
経済産業研究所で行われている研究プロジェクトの一つに『開発援助のガバナンス構造に関する体系的研究プロジェクト』というものがあるのだが、その研究プロジェクトのHPができていた。
この研究プロジェクトは「開発援助の先端研究」と「開発援助のガバナンス構造」の二つに分かれている。
「開発援助の先端研究」ではアジアとアフリカにおける援助パフォーマンスの違いを体系化することが目的とされており、次のような研究結果が得られている。
- 日本の援助は、日本からのFDIを促進する頑健な効果を持っており、日本の援助における援助・投資・貿易の「三位一体論」の存在が支持される。
- 東アジア諸国に比べてサブサハラアフリカ諸国で顕著な問題となっている援助氾濫は、援助受入国の経済成長パフォーマンスに負の影響をもたらす。
- 技術協力は、対外的な経済開放政策・FDIともに重要な国際技術波及経路となっている。
- ミレニアム開発目標を基準にすると、ドナーの援助配分は、効率的ではなく、改善の余地がある。
一方、「開発援助のガバナンス構造」については、ドナーの意思決定構造、受入国の意思決定構造と援助の形態(モダリティ)で構成される、公的国際資金フローとしての開発援助の「統治構造」を体系的に明らかにすることを目的としており、これについても多くの研究成果を得ているようだ。
開発援助の研究を志す大学院生には是非読んでもらいたい。
また、『3分でわかる開発援助研究:オススメの1本』では、一般人向けに開発援助の研究に関する紹介・解説がなされており非常に参考になると思われる。